primroseのblog

 BL漫画「春を抱いていた」私設・非公式サイトへようこそ! BL漫画、小説が苦手な方、そもそもBLという言葉がわからない方、 こちらは史上最強ラブラブゲイカッツプル<春抱き>を熱く語るサイトにございます。 まかり間違ってこちらへ飛んでこられた方は、すみやかに避難してください。 *改装工事が終わりました。ご協力ありがとうございます*

春抱きSS

微睡

青白い朝の光がうっすら差し込む冬の夜明け。
ほわほわした雲につつまれるような温かさの中で眠っていた岩城は、頸にかかる息苦しさにふと目を覚ました。

(・・・・・・・?)

自分の下で眠る香藤の腕がずれて、頭から首へといつのまにか移動していたらしい。ちなみに香藤の左腕は岩城の腰にがっちりからまっていて、動けない。

(まるで親鳥が雛鳥を抱え込んでいるみたいだな・・・・・・・)

恋人たちの甘い眠りをむさぼる香藤を起こさないように、岩城はそうっと香藤の腕を自分の肩へとずらしながら、くくっと喉のおくで笑った。

(聖母のようだと言われたときは、どうしてくれよう、と思ったが・・・・・。こうして俺を抱いて眠るお前のほうが、よっぽど母親みたいじゃないか)

岩城は物心ついた時からずっと、12畳ほどの自室でひとり、寝起きしていた。
それをとくに寂しいとか悲しいとか思ったことはなかったが・・・・・・・。

(・・・・・・・知らなかったな)

こんな暖かさは。
耳を澄ませば静寂に香藤の規則正しい鼓動がひびく。
暖かく、優しく、不思議と懐かしい、ぬくもり。

(これが肉親のぬくもり、というものなのだろうか・・・・・・?)

そう思うとくすぐたいやら照れくさいやらで、ますます笑みこぼれてしまう。

「・・・・・・ん?」

笑いをこらえる振動が伝わってしまったのだろうか、香藤の穏やかな寝息がふっと乱れた。
岩城がなだめる様に、甘えるように香藤の胸に頬をよせると、香藤は冬の寒さから守るように、ぎゅっと岩城を抱きしめた。

 

Raise~ジェラシー~

こちらは15禁SSです。
文中にセクシャルな表現・暗喩がでてきますので、苦手な方はすみやかに退避してくださいませ。
私は大丈夫! という方、下記の<続きを読む>よりお進みください。













ほんとぉぉぉに、大丈夫?
では、GO! 続きを読む

ウエストコートにて~条件~


(指輪してる人、多くないか・・・・・・?)

初の写真集<kiss of fire>の撮影のため、ウエストコートに来ていた岩城は、ふと、奇妙なことに気付いた。
さんさんとふりそそぐ陽光、輝く海を眼前にした貸し切りのカフェテラス。さまざまな機材を持ってせわしなく行き来するスタッフたち。その大道具さんからスタイリストさんに至るまで、左手にきらりきらきらと煌めく指輪をしている・・・・・・、ような気がするのだ。
メインカメラマンの武井から、香藤と共に撮影の進行説明を受けていた岩城は、思い切って尋ねてみることにした。

「指輪をしてる人、多いですね。既婚者ですか?」

被写体を除いて、撮影現場にアクセサリーは御法度である。貴金属の乱反射が邪魔になるからだ。それでも直前まで外したくないアクセサリーがあるとすれば、結婚指輪ぐらいのものだろう・・・・・・、という岩城の推測は当たっていたらしく、武井はにこにこと笑ってうなずいた。

「ええ。香藤さんに頼まれましたからね」

瞬間、岩城の隣で(うわっちゃ~)とでも言いたげな表情を浮かべた香藤を見て、武井もしまった、と思ったのだが遅かった。
案の定、岩城はすごい目で香藤を睨みつけた。

「香藤っっ!!」
「だって」
「だってじゃない!」
「でもっ」
「でもでもない!」
「・・・・・・・・・」

一気に<二人の世界>へと突入し、人目もはばからず夫婦喧嘩をはじめた彼らを前に、武井は仲裁をあきらめ、観戦に徹することにした。

香藤が燃えるような目で岩城を見詰めれば、岩城もなんだとばかりに凍えるような目つきで睨みつけてくる。無言の攻防のさなか、ごまかせない、と感じた香藤は、開き直ることにした。

「・・・・・・岩城さん、あとは判子押すだけの婚姻届、いままで何百通、もらった?」
「・・・・・・・・・・っ!」
「婚約指輪、何十個、贈られてきた?」
「・・・・・・・・・」
「死後剥製にしたいから、遺体譲渡手続きをとってくれ、なんて、猟奇なリクエストされたこともあったよね?」
「・・・・・・・・・」
「だから、既婚者オンリー。
心の中に唯一人の住人がいる人なら、絶対、変なことにはならないと思ったから、ね」

こんこんと話すうちに、すっかり俯いてしまった岩城の頭をひきよせて、香藤はささやいた。

「・・・・・・心配なんだ。岩城さんが、すごく好きだから」
「香藤、だが、それはお前も・・・・・」

岩城の唇に人差し指をおいて、続く言葉を優しくさえぎる。

「俺は、平気! むしろ応援されてるぐらいだもん!」
「・・・・・・・・は?」

にへら、っと笑って香藤は、自慢げに答えた。

「ラブラブなんて生ぬるい、骨抜きにしちゃってください! とか」
「え・・・・・?」
「激ラブしてる二人を見てると、熟年夫婦の私達も燃えます! とか」
「え? ええ?!」
「・・・・・・まぁ、ファン層の違いってやつかな。セットで応援してくれる人が多いんだよ」

半分本当、半分ウソ。香藤を単独で好きだというファンももちろん多いのだが、あっけらかーんと、「岩城さんに飽きたらデートして」とか、「浮気したくなったらいつでも声かけて」とか、ライトに誘いをかけてくる子が多く、香藤自身、あまりシリアスに考えることはなかった。
が、岩城のファンは違う。こわいほど真剣で、一途だ。

「でも、岩城さんは、ちがうでしょ? だから・・・・」

香藤は、岩城を抱く腕に力を込めた。

「俺を安心させるためだと思って。露出の多い現場では、なるべく既婚者オンリーにしてもらって」
「しかし・・・・・・」
「ね、お願い!」

まっすぐ岩城の目を見て、ためらうことなく頭を下げる香藤の潔さに岩城はどきりとする。
大人びた気遣い。大人びた仕草。・・・・・それが年上の自分を追いかけるために身につけたものだとは、わかってはいるのだけれど・・・・・・、ひどく、格好良くて、悔しくて・・・・・・・・。

「わかった・・・・」

岩城は、自分の唇におかれたままの香藤の人差し指を、ぱくり、と銜えた。

「いっ、岩城さん・・・・??」

首筋まで真っ赤になってうろたえる香藤をちらりと見上げて、口腔内の指を存分になぶると、岩城はニヤリと笑って唇を離した。

「まいったか?」
「・・・・・・・・っっ!」
「・・・・・話はまとまったかい?」

ひどく、ひどく疲れた声に驚いてふたり同時に声の出所を見ると、ほとんど机につっぷさんばかりの武井の姿が見えた。

「・・・・・・・・・っ!」
「どわっ・・・・・!」

香藤は慌てて岩城の頭から手をはなし、岩城は真っ赤になって口元を手で覆い、明後日のほうを向いた。

・・・・・・・この日以降、岩城の撮影に「既婚者オンリー」という特殊条件が加わったことは、業界関係者はひとしく知るところである・・・・・・・。

ウエストコートにて~危険な恋人~

撮影初日。
岩城と香藤は夜明け前の浜辺で、衣装合わせをしていた。
暗闇の中、自分に続いて仮設テントに入った岩城を、香藤は少しそわそわしながら待つ。
海での撮影。当然のことながら、ふたりとも水着である。

(岩城さん、大丈夫かなぁ~、控えめなの、選んでくれるといいんだけど・・・・・・)

岩城はなんというか・・・・、自分が美しい、という自覚がまるでない。役を離れた自分は、どこにでもいるただのオッサンだとでも思っているかのようで、香藤はいつも、すこし、心配していた。
腕っぷし、という意味ではぜんぜん心配していない。剣道の、とはいえ段持ちである。たいがいの男は敵わないだろう。だが、心はどうだろうか? 
妹の洋子を痴漢の魔手から守り続けてきた身としては、プライドを傷つけるかも、と思いつつも、やっぱり、心配になってしまうのだ。

あわい曙光がさして、天と地の境目をつくりあげてゆく。夜と朝が交差する中、もったりと重たげなテントの端が揺れて、岩城が姿をあらわした。
瞬間、香藤の頭が沸騰した。

「いいいい岩城さん・・・・・」
「ん? どうした? なにかヘンか?」 

ほのかな光の中、あらわれた岩城は水着という名の布っ切れを身に着けていた。
局所を覆う布はちいさく、左右の隙間からこぼれそう。水着を腰の位置で止めるはずの紐は、紐というよりもはや糸である。

(うわぁ~~!)

体の中心に熱があつまってくる。変化しつつある自分を顧みず、香藤があわてて岩城の背後を見やれば、そこに本来あるはずの布がない。いや、多分あるにはあるのだろうが、岩城の形のいいお尻のラインに隠されて見えず、パッと見は、全裸だ。
香藤は羽織っていたパーカーを秒速でぬぐと、光速で岩城の腰にくくりつけて、砂浜にへたりこんだ。

「岩城さん、駄目!」
「・・・・・・は?」
「そんなミニマムな水着じゃ、俺、仕事なんかできないよ~~!!」

涙目で訴える香藤を見下ろして、その窮状を知った岩城は、真っ赤になってテントの中へとかけこんだ。



テントの中で。岩城は困惑していた。
事前に申請していたサイズでは合わず、予備として用意されていたものは奇抜なものばかり。そのなかで、比較的まともだと思ったものを選んだつもりだったのだが・・・・・、香藤があれでは仕事にならない。

「ふ・・・・・、ん」

折りたたみテーブルの上に広げた水着を見ながら考える。

一枚目、オレンジの地にトロピカルなハイビスカスの花がプリントされたもの。

・・・・・いい年こいた男が、花柄模様はないだろう。

二枚目、黒地に金色の雷の模様がプリントされたもの。

・・・・・・プロレスラーじゃあるまいし・・・・・・。

三枚目、後ろにウサギのしっぽのようなポンポンのついた、ショッキングピンクの水着。

・・・・・・さすがにこれはありえない・・・・・。

ラスト、パールホワイトのシンプルなハイレグ。

・・・・・・男の浅黒い肌に白い水着じゃ、短足に見えかねない、が・・・・・・。

「これが一番、無難か・・・・・」



ややあって。
金色の日差しの中にあらわれた岩城の姿を見た香藤は、ほっと安堵のため息をついた。
もうしわけていど、とはいえ布がある。
つづいて、とろけるような笑みを浮かべた。

「岩城さん、綺麗だ・・・・・・」

朝のいちばん初めの光を浴びた岩城は、愛の女神のように美しく、気高く、妖艶だった。
砂を払ってたちあがった香藤は、そっと岩城に近寄った。
・・・・・・いちど磨かれてしまった宝石は、にどと元の原石へとは戻れない。今後のことを考えるなら、彼に言わねばならないことがある。どうしても。

「・・・・・岩城さん」
「ん?」
「俺達、これからは、売り方を考えていかなきゃね」

岩城は天然だが、カンは鋭いほうである。香藤が言わんとすることを察してはっと息をのんだ。

「色気だけで売れてるんじゃないってとこ、見せつけてやらなきゃ、ね」

挑む、目。
言って、照れたように海へと視線を滑らせた香藤の精悍な横顔に魅せられながら、岩城もまた、うなずいた。

「そうだな・・・・・」

AV男優から突然の大抜擢。嫉む者も多いだろう。
磨かれてしまった宝石。よからぬことを企む者も多いだろう。
が、それがどうした?
自分のそばには岩城がいて、岩城のそばには自分がいる。
これから先、あまたの苦難が押し寄せてこようとも。

(楽しみながら、乗り切ってやるさ・・・・!)

黄金色に染まる海と空と大地は、これからのふたりの不確かな、しかし無限の未来を映しているように見えた。

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不意打ち

・・・・・・・・俺、ね。
岩城さんの笑顔、見たいなー、って思ってたんだ。
怒った顔、泣いた顔、照れた顔、いろいろ見てきたけど、まだ、ありのままの笑顔、見たことなかったよなって。





「・・・・・・・もしかして、俺、マジっぽくみえます?」
「ちょっと、ね」
「そっか・・・・・・・・・」

苦笑いする香藤を気遣わしげに見ていた佐和は、ふっと視線をあげると、門扉の前に立つ岩城に気付いて、香藤にさししめした。

「あ、ほら、岩城君、門の前で待っててくれてるわよ」
「あ、ホントだ・・・・・・・・。じゃ」
「ええ。また、ね」

くすっと笑って、佐和は自宅へと戻っていった。その怪しい微笑に気付くこともなく、香藤は岩城めがけていっきに駆けよった。

「岩城さん・・・・・・」
「・・・・・・・香藤、ありがとう」
「え・・・・・・?」

思いがけないことを言われて香藤は目を見張る。照れくさいのか岩城はふいっと視線をそらし、空を仰ぎ見た。

「誰が一番傷つくのか、俺は考えていなかった・・・・・・」

佐和の恋人だと紹介された少年、雪人。彼にとって佐和は、年齢的にみて、はじめて愛を交わした人物である可能性が高く、ひょっとしたら、初恋の人、だったかもしれない。
そんな一途な少年がほかならぬ佐和の提案で見知らぬ誰かに乱暴されていたら、どんなに傷ついたことだろう。下手をすれば、一生消えない心の傷になっていたかもしれない。
それを防いだのは、間違いなく、香藤の功績だった。自分の感情を抑え、まわりを思いやって行動できる彼は、自分が思っていたよりずっと心の強い人間なのかもしれないな、と岩城は思った。

「お前には、ちゃんと見えていたんだな、雪人君の気持ち。だから、あえてあの場に留まった」

空を見ていた岩城はすっと香藤に視線をもどし、光の花が咲くように、ふわっと微笑んだ。

「お前、いいやつだな」

自分のことのように嬉しそうに、ふわっと。
理解されて、受け入れられて、香藤は胸が熱くなるのを感じた。

(・・・・・・・好き? ああ、好きだ、彼が。すごく・・・・・・・・)

胸を熱くする思い。その思いこそが恋なのだと、あらためて実感した瞬間だった。途端、かぁっと頬に血がのぼるのを感じて香藤は狼狽える。

(・・・・・・・・ふ、不意打ち・・・・・・・・っ)

その笑顔は、香藤にだけ、向けられたものだった。自分にだけ引きだせる、笑顔。そんなたわいもないことが、こんなに嬉しいなんて・・・・・・・・・・。

(中坊のガキじゃあるまいし・・・・・・・)

大きく息を吸って、吐いて、気持ちをきりかえる。・・・・・・・大人な彼に、子供っぽいとは思われたくなかった。

「ね、岩城さん。飯、食ってきません?」
「ん・・・・・・・?」
「運動して、お腹すいたでしょ?」
「~~~~っ!」
「神楽坂にいい店、あるんですよ。お洒落なカフェレストランで・・・・・・・」

がつんっと岩城の鉄拳が光速で香藤の頭に落ちる。

「~~~~っ、なんで!!」
「往来でそんなこと言うなっ!」
「だって、岩城さん、2回もイっ・・・・・・って~~~~っ!」

ふたたび、神速で岩城の鉄拳が香藤の頭に炸裂した。

「言うなっ!」

言って、足早に歩きはじめた岩城は、首筋まで真っ赤だった。ずんずん遠ざかる背中を香藤は慌てて追いかける。
本気の恋は人を子供のように素直にする、ということを、二人とも、まだ、知らない。
午後の金色の日差しがまったりと、二人のシルエットをつつんでいた。
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