こちらは15禁SSです。
文中にセクシャルな表現・暗喩がでてきますので、苦手な方はすみやかに退避してくださいませ。
私は大丈夫! という方、下記の<続きを読む>よりお進みください。













ほんとぉぉぉに、大丈夫?
では、GO! 

どこかエスニックな雰囲気のフロアー。
重厚な紫檀造りの衝立、大きな花瓶に飾られた純白の蘭花、真紅のフロカティ。岩城と香藤は毛足の長い絨毯の上に腰をおろした。
瞬間、スポットライトが二人を照らし出す。
メンズフレグランス「GIGOLO」のポスターの撮影が始まった。 
 
成り行きで飛び入り参加した岩城は当然のことながら衣装の用意などなく、自前のワイシャツのボタンをいつつ、むっつ外して、肩から二の腕までシャツをすべりおとした。
半裸の岩城を背後から抱きかかえる香藤の衣装は、日に焼けた肌をきわだたせるシースルーのシャツにブラックデニムのジーンズ。自分のわき腹にまわされた香藤の腕を見下ろしながら岩城は、いまコイツは、レンズに向かって挑発するような、魅惑の眼差しをむけているのだろうな、と思った。

ポスターのコンセプトテーマは「虜」。

甘美な毒のように甘く、危険な麻薬のように、一度とらわれたら二度と逃れられない・・・・・・・、そんな妖しい魅力を持つ香藤にふさわしい仕事だった。けれど・・・・・・・。
 
(・・・・・たりない)
 
岩城は身をよじって香藤の左肩に自分の右手を回すと、そのまま彼を押し倒した。

「岩城さん・・・・・・・?」 

(そんなもんじゃないだろう、おまえは)
 
触れるか、触れないか・・・・・・・。
 
驚愕の声を無視して、岩城は左手で香藤の胸を愛撫する。さっき、たがいの身に刻んだ甘美な記憶をよびおこすべく。彫像のようにととのった手が香藤のジーンズを撫であげたとき、たまりかねたかのように香藤は岩城の手首をとらえた。

「ちょっと、まって! いまはまだ・・・・・」

岩城はつかまれた自分の手首ごと、香藤の手を自らの腰に導いた。
瞬間、前身頃の合わせ目がきゅっとよじれ、岩城のしなやかな腰のラインが香藤の眼に飛び込んできた。 

「・・・・・・・・・っ!」 

熱に、紅く染まった香藤の耳朶に冷たい息を吹きかけながら、岩城はそっとささやく。
 
「・・・・・・・・おまえは、ほしくないのか・・・・・・?」 
 
瞬間、香藤は文字どうり、目の色を変えた。
拘束していた岩城の手を開放し、はっきりと、自分の意志で岩城の腰を引き寄せる。
岩城だけを見つめ、岩城だけを求める、野生の猛獣のような眼差し。

(・・・・・・・そうだ、この目だ)

(この目が、ほしかった・・・・・・!)

たぎるような欲望を隠そうともしない、灼熱の眼差しをうけとめて、岩城は、嫣然と微笑んだ。