岩城さんって、頬擦りすることが多いよね。
たとえば腕への頬擦りは、かまってほしい時。
たとえば胸への頬擦りは、抱きしめてほしい時。
可愛い。ものすご~~く 、可愛い。
だけど困る。
男の事情というか股間の都合というか・・・・・・・、いやいやいや。
「・・・・・・・・」
そして背中への頬擦りは、"ごめんなさい"の頬擦りだ。
俺の背中に頬擦りする岩城さんを肩越しに見やると、迷子の子猫のようにうるうるした瞳で俺を見てた。
かっ、かっ、可愛い~~っ。
・・・・・・じゃなくて。
「ん? どうしたの、岩城さん?」
「・・・・・・・・」
熱のせいか、まっかに火照った頬、力なく投げ出された身体。まるで紅をさしたかのように、唇が紅い・・・・・・。
3ヶ月ぶりにかさなった半日オフ。岩城さんは今まで忙しかった反動か、インフルエンザにかかっていた。俺は速攻、岩城さんをかかりつけのホームドクターに診てもらい、いま、ベッドに押し込めたところ。
「・・・・す、・・・・・ぁ、・・・・・っ」
「無理しないっ! ・・・・・・わかってるから、ね?」
「・・・・・・・・」
普段、決して見ることのない、弱々しい、縋るような眼差しに負けたのは、俺の方だった。
永遠に勝てるはずもない誘惑。
岩城さんの、驚くほど無防備な眼差し。
俺はサイドテーブルの飴玉をとり、岩城さんの口元に運んだ。途端、岩城さんは嫌そうに眉をしかめた。
「・・・・・・・・」
「のど、痛くて話せないんでしょ? 甘くても、薬だと思って我慢して?」
しぶしぶってカンジで開いた口にそっと蜂蜜飴をおとして、俺は顔を近づけた。途端、気配をさっした岩城さんがべちっ、と俺の唇をたたき、顔をそむけた。・・・・・・カンがいいなぁ、もう。
「ばっ・・・・・・・・っ」
「・・・・・・うん。俺、莫迦だから、風邪ひかない」
「・・・・そゅ・・・・」
「それにもし、風邪をひいたら、もっと長く、岩城さんのそばにいられるよ?」
「・・・・・・・・っ」
岩城さんは、面食らったように目をしばたかせた。
「だから、わけて? 岩城さんの風邪・・・・・・」
「・・・・・・・・」
なんどもなんども瞬きをして、岩城さんは諦めたように目を伏せた。
震えるおとがいに手を添えて、すこし、上を向かせる。・・・・・・いつもより、吐息が熱い・・・・・・。
うっすら開いた唇にそっと口付けて。俺はそのまま、飴がとけてしまうまで、岩城さんの唇を放さなかった。
岩城さんの、驚くほど無防備な眼差し。
俺はサイドテーブルの飴玉をとり、岩城さんの口元に運んだ。途端、岩城さんは嫌そうに眉をしかめた。
「・・・・・・・・」
「のど、痛くて話せないんでしょ? 甘くても、薬だと思って我慢して?」
しぶしぶってカンジで開いた口にそっと蜂蜜飴をおとして、俺は顔を近づけた。途端、気配をさっした岩城さんがべちっ、と俺の唇をたたき、顔をそむけた。・・・・・・カンがいいなぁ、もう。
「ばっ・・・・・・・・っ」
「・・・・・・うん。俺、莫迦だから、風邪ひかない」
「・・・・そゅ・・・・」
「それにもし、風邪をひいたら、もっと長く、岩城さんのそばにいられるよ?」
「・・・・・・・・っ」
岩城さんは、面食らったように目をしばたかせた。
「だから、わけて? 岩城さんの風邪・・・・・・」
「・・・・・・・・」
なんどもなんども瞬きをして、岩城さんは諦めたように目を伏せた。
震えるおとがいに手を添えて、すこし、上を向かせる。・・・・・・いつもより、吐息が熱い・・・・・・。
うっすら開いた唇にそっと口付けて。俺はそのまま、飴がとけてしまうまで、岩城さんの唇を放さなかった。
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